ha ha ha 考える歯

「田北先生は心のドクター」 佐藤 綾子さん(日本大学芸術学部教授)

 先生にはかれこれもう四半世紀お世話になっています。
口を「あーん」と開いて口の中を曝け出すという動作は、私にとっては別の言い方をすれば心の中を曝け出すという動作だったようです。
歯の治療をしながら、どうやら先生は私に心のケアまでしてくださいました。

 父を早くなくしてたった一人の親となっていた母を2001年3月に亡くした時、私は相当に落ち込みました。
大学教授であり、社団法人パフォーマンス教育協会の創業者であり、理事長であり、日本のパフォーマンス学の第一人者であるなどと考えて、「だからしっかりせよ」と励ましの言葉を自分に掛けてやっても、まるで効果がないのです。
そんな時になんと田北先生は、「それは本当にかわいそうだね。仕事のために離婚をしてご主人もいないのだから、さぞかしこたえるでしょう」と、自分のお友達の精神科医を紹介してくださいました。

 こちらの先生のカウンセリングを受けながら、さらには途中でクリスチャンになるというような大変化も経験しながら、私は 前よりもさらに元気になりました。
144冊目の本「人は7秒であなたを読む!」(東邦出版2007年11月7日刊)を世に送り出し、ファイト満々です。
あの時田北先生が与えてくださった心のケアは、本当に身にしみて忘れられないものです。

 今、世の中ではオーダーメイド医療が注目されています。
患者に対して一律の医療を提供するのではなく、それぞれの患者さんの個人的な特徴や要望を捉えて一人一人のニーズを満たす医療が大切だという考え方です。
 オーダーメイド医療を研究する学会もスタートし、生命倫理学会などもこの動きに絡み、患者はただ一律に扱われるべきものではなく、本当に一人一人のデリケートな心を見つめての治療が必要だということが、いまさらながら医学会でムーブメントになっています。
私が聖路加国際病院の日野原院長のもとで、医師のためのパフォーマンス学会の立ち上げに加わったのは、1989年のこと。
あいにくその学会は途中で休眠状態に入ってしまい、医療パフォーマンスの部門も引き受けた状態で、私が1992年に 国際パフォーマンス学会を立ち上げました。
田北先生もその会員になってくださっています。

 先生の活動がますます必要な時代です。
歯と共に心も診る田北先生の末永いご活躍とご指導を心から願っています。