ha ha ha 考える歯

「田北先生の太鼓判」 矢内 廣さん(ぴあ株式会社 代表取締役会長兼社長)

思い出してみると、僕は自分から進んで歯医者に通う子供だったようです。

子供にとって歯医者はもっとも行きたくない場所の一つ。友人たちは虫歯が疼いても絶対に行きたがらないのに、僕はひどくなる前に母に言って、歯医者さんに連れて行ってもらっていたのです。とはいえ、中学時代に奥歯に詰め物をして以来、歯医者に行った記憶がありませんでした。

初めて田北先生にお会いしたのは25~26年前、日本歯学センターと同じく、紀尾井町「ザ・フォーラム」に事務所のあった野田一夫先生のご紹介でした。診ていただくと、中学時代に治療した歯に隙間ができていると、再度詰め直してもらったのですが、「こんなにもっているなんで信じられないね」と大変驚かれたことを覚えています。昔の田舎の歯医者さんの腕もなかなかのものだったのかも知れません。そして、「矢内くんは顎がしっかりしていて、歯もしっかり根付いているから、自分の歯で30年は持つよ」と、うれしい太鼓判を押されました。

その時「ブラッシングで虫歯は予防できる」と、バス法というブラッシング方法を教えていただきました。その後、バス法をより簡単にできる「ソニケア」という電動歯ブラシも薦められて購入。以来、20年以上、毎朝5分間それで磨いているからか、その後今日まで虫歯は1本もありません。またいい機会だからと、その時、上下全ての歯のレントゲン写真も撮りました。
「これで安心。万が一飛行機事故に遭って、遺体の判別がつかないようなことになっても、この写真で確認できる。どんどん海外にいきなさい」と励まされ、またもや太鼓判を押されてしまったのです。それから数年、なぜか親知らずが炎症を起こし、抜くことになりました。
横向きにしっかり根付いていたため、なかなか抜けません。先生は様々な道具を使い、汗だくになって悪戦苦闘、ついには歯を縦横4分割にして抜こうとしましたが、最後の4分の1がどうしても取りきれず、「そのままでいいよ。そのうち骨と同化するから大丈夫!」とここでも太鼓判を押されました。

お陰様で今も歯のトラブルとは無縁の毎日を送っていますが、時々田北先生から「チェックにいらっしゃい」と呼び出しがかかります。
そういう時、僕は弊社の出版物を何十冊も袋に入れて持参します。みんなが見て楽しめるグルメの本、旅行の本、イチローの語録集「夢をつかむ イチロー262のメッセージ」に代表される各種単行本等々、お持ちすると先生はとても喜んで待合室に置いてくださるのです。そして、まるでぴあの宣伝担当役員のように、訪れる患者さんたちにそれらの本を薦めて下さいます。
年に何回か先生から呼び出されるたびに、「そろそろ新しい雑誌の催促かな」とうれしくなり、僕の歯にもうちの本にも先生の太鼓判を押していただこうと、いそいそと出掛けて行くお付き合いをしております。