ha ha ha 考える歯

「光の扉」 谷村 新司さん(音楽家)

子供の頃の記憶とは恐ろしいもので、何歳になっても消えないものである。
親戚が歯科医だったので、母に連れられて、当時チンチン電車に乗って歯医者に通わされた。とても辛い時間で、一時も早く解放されたい!その一心でひたすら目を閉じて治療の間は我慢していた。この世の終わりとも思えるあの機械の金属音と消毒薬の匂い・・・そして何よりも辛かったのは、昔から口の中に何かを入れられると他の人よりも敏感にえずくのだ。その事が辛くって、小学校の内科検診の日は前日からブルーだった。白衣を着た先生の前に一列に並び、自分の番が少しずつ近づいてくるだけで、もう、えずきそうになってしまう。そしていざその時になると、先生の手に持った金属の板が口の辺りに来ただけで「おえーっ」となってしまう。後はただ涙を浮かべて耐えるしかない。人生最悪の瞬間であった。
そんなわけで、歯医者となると、その事が脳裏を横切って来る。まさに条件反射であった。

カミサンやら子供達がお世話になり始めた田北先生のところへ半ば強引に連れて来られた時は、あの頃の小学生の自分に戻っていた。しかし・・・である。田北先生の指先は、えずかない魔法の手だった!人生の中で大きな感動の瞬間であった。こんな先生もいるんだ・・・という感動の時を終えて、先生とお話をしていて教えられたのは、田北先生自身も「おえーっ」の人だったのである。だからこそ、患者の気持ちがよく解って下さっていたのだ。
その日から仲間意識が芽生え始め、そして現在に至っている。
今はむしろ自分から「ホワイトニングを・・・」なんて信じられない自分の変化を楽しみながら通わせて頂いている。サロンでお逢いする人生の先輩の方達を気軽にご紹介して頂いたりしながら、まるでお気に入りの喫茶店状態で楽しく通わせて頂いている。
自分の人生観を変えて下さった皆さんに日々感謝しつつ、鏡の前で歯を磨いている日々に、一人にんまりしている。